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「情報システム技術とオペレーティングシステム教科」

(紀要94) 1995.1.12 北九州職業能力開発短期大学校 情報処理科 関谷順太

Information Systems Technology and ”Operating Systems” Syllabus

〔要約〕

 情報システム技術の展望を行う。そして,オペレーティングシステム(OS)教科の現状,短大でのカリキュラムの系統図を考慮しての教科のカリキュラムを検討する。
 情報システム技術の変化によって,ソフトウェア技術者への要求が,汎用計算機から,EWS,パソコンへと急速に移っている。ダウンサイジングである。出荷台数の多いパソコンで高機能化と低価格化が進み,Windowsの今後の普及やWindowsNTの採用が報道されている。
 当短大でのOS教科カリキュラムでは,汎用計算機のOSやUNIXを(実習ではなく)学科として講義してきた。OS教科の改善案として,『はじめにコンピュータ入門の一貫として,その歴史・機能をパソコンを対象に学習する。そしてMS−DOSを復習して,OSの概念について理解する。』ことを検討した。操作についての実習は関連の教科で,連携を密にして行う予定である。

1.はじめに

 筆者は,1994年度の学生委員として,情報処理科2年生の就職活動を世話している。ソフトウェア業界からの求人の減少が,昨年度に続いて,学生の就職の世話に苦慮している1)。学生には,情報システム技術者以外の職種での就職を説得している。その場合に情報システム技術として,どのようなものが,入社してすぐから将来まで役に立つであろうか?働く職場のコンピュータ環境がいろいろと異なるし,そこでの技術の変化が激しいので,基本的な事項しか,役に立たないであろう。特に,汎用機を使用していない職場に入っていく昨年から,今年の卒業生にとっては,パソコン等のOSについての知識と技術が要求されるだろう。ソフトウェア技術者も,UNIX, C 言語でなくWindows,Visual BASICの素養が求められた例がある。
 情報システム技術の動向,短大のOS教科の現状と改善案を検討したので,報告する。

2.情報システム技術の動向

 OSに関連する情報システム技術の変化について,以下に概要を述べる。

2.1 パソコンの普及と高性能・価格の低下

1 GUI

 ゼロックスのパロアルト研究所で開発され,アップル社のマッキントッシュに取り入れられたGUIは,アイコンとマウスを使って,初心者が分かりやすく,好評である。それをマイクロソフト社(MSC)は,ウインドウズ(Windows)として開発した。Windows 3.1 (1992年に発表,日本語版は1993年)は,現在ではパソコンの 80%ほどに初期インストールしたものが出荷されていると言う。

2 マルチメディア化

 Windows 3.1 は, インテルの16ビット以上のマイクロプロセッサでのウインドウOSである。主記憶が,8MB程度,ハードディスクが,数10MB必要である。文字(漢字なども)をグラフィック表示で行うので,グラフィックス・アクセラレータ・ボード等が無いと遅くて使いものにならない。CD−ROM等を使って,音楽や映像の処理も可能となった。

3 低価格化28,29)

 これらOSからパソコンハードウェアへの従来と比較すると大変な要求(高速,大容量)に対して,世界的には,IBM-ATの互換機による大量生産によって,そして昨年からは日本でもDOS/V 機によって,旧型の製品よりも安く購入できる状況となっている。1994年末でのWindowsのエントリマシーン( FMV DESK POWER )は,

  CPUが,Intel 80486SX2(50MHz) 
 主記憶が8MB
 ハードディスクが400MB
 倍速CD−ROM,スピーカ
 15インチのマルチシンクのカラーCRT
 OADGキーボード
 DOS/V    −+
 Windows3.1 −+−プレインストール
(その他のソフトが付いている。)の価格は,店頭価格で20万円を割っている。

2.2 マイクロプロセサの発達

 電卓の開発の中で,4ビットのマイクロプロセサがインテルで1970年代に発明された。そして,8ビット,16ビット,32ビットと拡張され高速化されてきた。Windows を動かすには,高速で高性能なCPUが必要になる4)
 一方,RISCチップとして,1980年代後半,ワークステーション用に超高速なプロセサが開発された。そして,Sunなどのワークステーションが急成長をして来た。
 1993年にインテルから発表されたPentium は,RISCチップと肩をならべるまでになった。ペンティアムは,RISC技術を取り入れており,RISC対CISCと言う視点での論争は無意味になってきた。

 代表的なCPUは,以下のようになる15) 。
・インテル系            ベンティアム
・IBM/モトローラ/アップル系  パワーPC
・SGI/MIPS系        R4000系列
・DEC              アルファ系列

2.3  パソコン用のOSとその対象ハード

 パソコン用のOSとして,8ビットでは,CP/M,16ビットではMS−DOSが,優勢であった。32ビット用として,OS/2やWindowsNT が発売されている。この32ビット系のOSは,ハードウェアへの要求が大きかったために,これまでは,普及が遅れていた。しかし,本格的なマルチタスクで通信機能をもったこれらの32ビットOSの改版(OS/2Ver2.2やWindows NT3.5 )によって,コスト性能比が改善されて,UNIXの牙城を脅かすと見られている。

 その背景として,OSはその対象を広げつつある。EWSとパソコンのOSが,それぞれ,もう一つのマシーンで稼働できるのである。例えば,ワークステーションのOSであったUNIXが,インテルのMPUのパソコンでも使えるようになっている。XENIX ,Solaris, Unixware 等である。この逆は,OSとして,WindowsNT が,パソコンのエンジンとも言えるMPUに,インテルの製品のみでなく,RISCチップ(DEC・MIPSは稼働,モトローラは予定)でも,稼働できるとという。

 歴史的には,RISCチップは,高速演算用にワークステーション向けに開発され,OSとしてUNIXが,使われてきたものである。しかし,モトローラ,IBM,アップルコンピュータ社の提携によるPowerPC について見るとRISCの技術にCISC技術を取り入れていた。そして,パソコンのOSであるMac,WorkplaceOS ,Windows などほとんどすべてのパソコン用OSを始めとして,AIX(UNIX) ,Solaris などのワークステーテョンのOSにも対応している。Windows NTでも使えるようにするという。

2.4 OSの使用事例

ハードウェアとOSなどのソフトウェアの発達により,ダウンサイジングあるいはアップサイジングとして,いろいろなシステム構成が,検討されている。

[UNIX のサーバ]

従来の汎用大型機による集中処理から,UNIXサーバなどによるクライアント/サーバ・システムへの移行が多い30) 。東京海上火災保険では,基幹業務のホストは汎用機のままだが,ミニコンと端末の部分をサーバ・クライアントに置き換える31) 。 銀行勘定系で, ホストをUNIXサーバに置き換えたのは,韓国の光州銀行である32)

 大学では, 慶応義塾大学の藤沢キャンパス, 九州工業大学などが,UNIX のサーバである33) 。なお,法政大学のキャンパスLAN 「HUMAN」では,UNIXサーバに対して,クライアントはパソコンの端末で,X端末用ソフト「Xビジョンウェア」を動かしている34)

[WindowsNTのサーバ]

 日本でのWindowsNT の出荷から1年を経て,NTは部門業務や情報系のサーバOSなどとして,UNIXにとって替わりつつある37,38)。三井物産では,部門サーバー 200台, クライアント約6000台で, 年間売上高15兆円の基幹業務を稼働させる。これらのシフトの理由の一つは低価格のRDB が発売されたためである36)

青山学院大学では, WindowsNT により, 事務情報システムを導入することを決めて, 96年4月の本格稼働を目指している38)

2.5 OS間の競争

 2.3節で述べたように,ユーザは,たとえば,ひとつのOS(OS/2,WindowsNTあるいは,Solarisなど)で,自分の必要性に応じて,MPU(コンピュータシステムのハードウェア)を選べることになる。( 出荷実績でみると, Windows3.Xが3000万本に対して,OS/2 2.1 は400万本とのこと。)一方でWindowsNT は,半年で20万本とのことだが, どのUNIXよりも多い。

ハードウェア間の競争と共に,OS間の競争(あるいは,OSの選択)がこれから,発生する。この決着は,ユーザがどれを選択するかによる。使いやすさ,価格,信頼性,安全性,過去の遺産の利用しやすさなどから,対象の適用分野によって,違ってくることになるだろう。

 2.4節で紹介したが,日経コンピュータによると, 基幹業務や部門業務(クライエント/サーバシステム)のサーバとして, 汎用機,UNIXのサーバでなく今後,WindowsNTが,替わって行くと言う。また,日経コンピュータ・グラフィックスによると, CAD分野でも,ワークステーションに代わって行くとの見解である39,40)

2.6 ダウンサイジングの本

 これまでに述べたことの参考書を紹介する。
 1年前の勝本の紹介では,14冊が書評と共に挙げられている24) 。それらの内,数冊を購入して参照した。概要を知りたい人のための柳井25) ,情報技術の本として樋口26) ,推進のアドバイスとしてG.ガグリアルディ27) は,それぞれ,分かりやすかった。

3.著者のコンピュータ利用の経過

 著者は,約30年間,コンピュータのユーザーあるいはソフトウェアベンダー,情報処理科の教員として,コンピュータに関係してきた。それの概要を紹介する。

3.1 汎用機の使用経験

 1966年にいすず自動車の研究部管理部にIBM 360モデル40が導入された。その時から,技術計算分野での,プログラム作成と運用を行った。言語はFORTRAN が主であった。
 1970年に,安川電機製作所の機械計算課に転職して,同じIBMマシーンだが,COBOL (バッチ処理のみ)で6年間ほど,事務分野のアプリケーションの開発と運用を担当した。
 1978年に,安川情報システムに移籍してから技術計算の開発営業として,有限要素法のソフト(MSC-NASTRAN, ANSYS)の利用や交通調査,港湾調査などの分野で,プログラム開発を行いその計算を行った。この間に,ホストが,IBMからコンパチ機の富士通に変わった。プログラムやデータの媒体がパンチカードから,ハードディスクに移り,開発やテストがバッチ処理から,TSSでの対話型処理に移った。  この時期にミニコン(DECのVAXなど)の普及,パソコンの発展がはじまり,大型計算機による技術計算(TSSなど)が,VAXやパソコンに段々と,移っていった。
 1990年に,当短大の情報処理科に転職した。そして,汎用機でのCOBOL やFORTRANの演習の助手をした。

3.2 ミニコン,パソコンの使用体験

 1977年,安川電機製作所の研究所で,ミニコンYHP-21MXとマイクロコンピュータの通信システムのデモのソフトをミニコン側のアセンブラで作成した。MPUのDMAでは1バイトずつであることが,デバッグで分かった。
1983年,パソコンCADシステム「Y−CAD」を,オリベッティのパソコンにFORTRAN で作成した。OSは MS-DOS で,マウスを入力として,各種のプロッターへ出力した。この頃,パソコンFM11-BS(8088, 256KB, 2HD×2, 12" )を50万円ほどで買った。その後,PC9801でのN88-BASIC86(MS-DOS版)でのワイブルチャートの作成や,FMRでのリアルタイムOS-IRMX86 のC言語で、ニューロのためのデータ収集システムなどを作成した。
 1990年に当短大に転職しては,バソコンを使ってのMS-FORTRANやMS-Cでのデータ構造やアルゴリズム,FBASIC-HG での統計手法などの授業,MASMの演習などを担当した。
 1993年から,北九州大学での非常勤講師として,HARMONY, Quick Cなどを使っている45) 。少しだが,Windows 3.0 でPC-Mail やお絵描きソフトを紹介した。
 1994年11月に,Windows のエントリマシーンとしてFM-V DESK POWER (16MB)と,MS-OFFICE ,ACCESS を購入し,テスト使用を始めたところである。(このパソコンは,10年前と比較すると,性能的には20〜100 倍で, 価格は1/3 程度である。)CD-ROM のソフトでは,clipart (イメージファイル集),GUTENBERG (テキストファイル集),CICA(MSウインドウズのプログラム集)などを入手して,利用する予定である。
 Windows のプログラム開発者向けに,マイクロソフトは,CD−ROMによる情報提供の仕組みを作っている42) 。そのレベル2会員になったので,20枚からのCD−ROM(各国語版のOS,SDK,DDKなど)が,届いている。

3.3 UNIXについての体験

 1989年,富士通のSXGでのCADシステムの導入をサポートしたのが,UNIXとの関わりである。  当短大に転職して,5年前からUNIXの学習を始めた。HPの文字端末を使って,基礎的なコマンドやシェルスクリプトを学習した。そのあと,画像処理のためにグラフィックスソフトSTARBASEを使った。
 1991年8月,ワークステーションSUNと有限要素法パッケージANSYS を導入し,それらを使い始めた46) 。その後,CASEツールのSAVERを導入して,テスト使用している。統計などのデータ処理言語Sを導入したが,授業ではまだ使っていない。
 卒業研究で,画像処理ソフトの作成(X-Windowによる),画像処理パッケージVIEW-Stationの導入(X11R5 や,Wcl, G++などが必要)などを行おうとして,苦労している。
 フリーソフトウェア等があるが,それらはサポートを受けることが難しいなどで,ユーザーの実力が相当に必要である。OSのバージョンがちがうとかで,CD−ROMのバイナリーが,そのままでは,使えない状況である。

3.4 ANSYSの利用とOSの関連

 すでに,前節までに説明しているが,汎用有限要素法パッケージANSYS を,大型計算機とEWSで利用してきた。EWSによって,対話型のグラフィックスが実用的になった。使用するコンピュータが違っても,ANSYS を起動してからの ANSYSのコマンドは,マシーンに因らず共通である。しかし,OSが違うので,データの管理や起動方法などが異なっている。
 パソコン用にも ANSYSのフルセットとサブセットが提供されている。データファイルは,いずれでも共通であるが,UNIXでは,大文字と小文字のファイルを区別するので,注意がいる。事業内援助などで,パソコン版のソフト「386ANSYS」からのデータを持ち込んで,Sunで計算をした。PCでも最近の Pentiumマシーンは,3年前のEWSであるSun4/470よりも早いそうである。
ユーザは,必要に応じてOSやハードを選択できる。サポートしているベンダーは,OSやグラフィックスのアプリケーションインターフェイスが統一されれば,移植などの費用を削減できる。

4.OS教科の現状と問題点

4.1 OS教科目の内容(目標)

 短大の専門過程標準カリキュラム集 )で,OS授業科目の内容は次のようになっている。『コンピュータに高度で豊富な機能を与え、かつ有効利用を図るためのソフトウェアの基礎的な知識を学ぶ。〔プロセス管理、データ管理、記憶管理、入出力管理、その他〕』

4.2 当短大の実施状況

 コンピュータの専門科目の一環として,1期に講義を実施し,教科書はこの2年間,次の図書を使用している。荻原宏著,「オペレーティング・システムの基礎」,オーム社刊
 なお,関連の実習は,入学直後のオリエンテーションの時間の一部にパソコンのOSであるMS−DOSを実習し,アルゴリズムの実習などで,MS−C言語によるプログラミング実習とCOBOLの授業で汎用機の操作を行っている。2年生でのEWSでの実習の始めにUNIXの使い方については紹介している。

4.3 問題点−その1(基礎的な知識なし)

 コンピュータ入門(パソコンによるキー入力やエディタ,MS−DOS操作,日本語ワープロ)として,入学して直後に,関係の学科の時間を使って,集中的にオリエンテーションを行っている44) 。OS教科は,それと独立に最初の週から,実施している。そのため,コンピュータのハードウェアやソフトウェアの基礎的な概念が不十分な状況で,OSの学習を開始している。さらに,他の学科などで最初に実習するMS−DOSともちがった汎用機のOSやUNIXの概念について,専門用語を使っての学習である。これでは,具体的なイメージが伴わないので,初心者にとって,OSの主要な概念やイメージの学習が難しいであろう。

4.4 問題点−その2(汎用機のOS)

 歴史的には,汎用機のOS,UNIX,パソコンのOSの順で開発されて来たが,学生が最初に実習するOSは,MS-DOSである。(なお,来年度の8月にリプレース予定の計画では,短大のパソコンは,DOS/V とWindows にしている。)
まず最初は,実習との関連から,MS−DOSについての,説明やサポートが必要である。その後,その他のOSについての紹介と,それらの比較を行うことにすれば,より,基本的な理解が得られるであろう。

5.OS教科の改善目標

 OS教科の改善目標は以下の項目である。
1)コンピュータ初心者に,親切なこと。
2)他の教科目との連携をはかること。(分担と協力)
3)資格試験との関連を持たせること。
4)コンピュータ利用者としてのリテラシィに 必要なレベルの知識や技能を付けること。

上の各項目について,以下に説明を行う。

1)高校や中学で,コンピュータ・リテラシィ教育が始まっているが,それらをまだ受けない学生が居る間は,彼らにとって,始めてのコンピュータに対して,分かりやすい内容と進め方が必要である。コンピュータとはどんな物で,どんな事が出来るのか。どうして出来るのか,どうしたら出来るのか?などの疑問に対して段階的な回答が与えられる必要がある。
2)関連する教科目として,アルゴリズムや計算機命令,計算機工学,ファイル構造などの教科や実習がある。それらの教科目とは,相互に参照をして,基礎的な事項についての確認を行う。理由は,それらの科目でOSとして,MS-DOS(Windows)や汎用機のOS,UNIXなどを実習したり,知識として,学習するから。
3)情報処理技術者としての就職が難しいことが続くと予想される。それの対策として,情報処理技術者試験の2種やシステムアドミニストレータ初級などの資格を取れるように,この教科目で目配りをする。
4)必ずしも,卒業後に情報技術者としての専門的な仕事(プログラマーやSEとしての業務)につかない学生もいる。彼らに対しては,コンピュータの利用者としての必要な知識や技能−システムのユーザーとしての役割やコンピュータの能力の評価の仕方−を付けておくことが望まれる。これは,この教科のほかに,いくつかの科目でも行うべきであろう。

6.OS教科の改善案

6.1 シラバス

内容は,パソコン入門を始めに行い,その後でMS−DOS,OS概論とする。
A)パソコン入門( 2回) 4)
1)パソコンで何ができるか
2)パソコンの歴史
3)パソコンのハードウェア
4)パソコンの基本となるソフトウェア
5)パソコンの応用ソフトウェア
6)パソコンの将来

B)MS−DOS(3回)6)
1)MS−DOSの基礎知識
2)ファイル処理(階層ディレクトリ)
3)バッチ処理
4)環境の構築
5)I/Oリダイレクト,フィルタ,パイプ
6)プログラム開発

C)OS概論(11回)3)
1)OSとは(歴史と概要)
2)ユーザからみたOS
3)プログラム開発とOS
4)ファイル
5)入出力と割り込み
6)プロセス
7)記憶管理
8)セキュリティ
9)並行プロセス
10)コンピュータネットワークと分散処理
11)OSの構成法

6.2 使用する教科書(案)
1)石田晴久著,パソコン入門,岩波新書,1988,¥630
2)河西朝雄著,MS−DOS,ナツメ社,1991,¥1800
3)清水謙多郎著,オペレーティングシステム,岩波書店,1991,¥2800

6.3 関連教科目との連携

1)この教科では実習時間がないので,実習時間を持つ他の科目での実習に少し参加して,学生に実習での概念の確認を行う。
2)講義の科目である「計算機工学」,「ソフトウェア工学」などの授業で,OSに関連する事項について,言及してもらう。
3)I期ではなく,II期やIII期の科目においても,そこでのOSの関連事項について,言及してもらう。

6.4 情報処理技術者試験の準備

1)講義の後での,チェック時間に,対応する既往問題を紹介して,学習事項の確認を行う。
2)受験する学生のうち,希望者については,補習を計画して,実施する。(夏休みと,9月末〜10月の始めの試験休み)

7.まとめ

 情報システム技術を展望し,著者のコンピュータ使用歴を紹介した。OS教科の現状と問題点,その改善案を述べた。95年度からの授業で,反映をしていく予定である。
 コンピュータの進歩が今後も続くであろう。動画なども高速なCPUによってソフト的にパソコンで実現されると言う。パソコンは,パーソナルな使用と共に,企業などでの基幹業務への利用が増えていくので,バソコンに対する教育がより重要になる。

参考文献

1.これがいま求められるソフトウェア技術者だ,TECH B-ing,94.5, pp.6-15
〔OSの教科書〕
2.萩原宏・津田孝夫・大久保英嗣:オペレーティングシステムの基礎,オーム社,1988
3.清水謙多郎:オペレーティングシステム,岩波書店,1991
〔パソコンやOSを説明する単行本〕
4.石田晴久:パソコン入門,岩波新書,1989.2
5.石田晴久:MS−DOS入門,岩波書店,1989
6.河西朝雄:入門ソフトウェアシリーズ2・MS−DOS,ナツメ社,1991
7.纐纈一起・鷹野澄:MS−DOS,共立出版,1988
8.斎藤信男編:ユーザーズUNIX,岩波書店,1988
9.実践UNIX研究会:MS−DOSユーザーのためのUNIX実践教本,光栄,1994
10.脇英世:MS−DOSとは何か,講談社ブルーバックスB651,1986 
11.脇英世:MS−Windowとは何か,講談社ブルーバックスB853,1991 
12.脇英世:パソコンLANとは何か,講談社ブルーバックスB906,1992 
13.脇英世:OS/2への招待,講談社ブルーバックスB764,1989 
14.小林道雄OS/2によるクライアント/サーバ・システムの構築,日経バイト1995年1月号特別付録,pp.25-38
15. 脇英世:WINDOWS の時代−マイクロソフト はパソコンをどう変えるか,講談社サイエンティフィック,1994
16.ヘレン・カスター著/福崎俊博訳:INSIDE WINDOWS NT,株アスキー,p.195,1993
17.好川哲人:すべてがわかるWindows NT,技術評論社,1994
(操作法などの単行本)
18.カタパルト社著/小川晃夫訳:Windows 3.1 オフィシャル・コースウェア ,株アスキー,1993
19.アンディ・ラスボーン著/クオリティ株訳:いけいけ!Windows 3.1 ,株アスキー,1994
20.ゴードン・マッコーム著/小川晃夫訳:私は WINDOWSが嫌いだっ,株アスキー,1994 
21. カタパルト社著/小川晃夫訳:Windows NTオフィシャル・コースウェア,株アスキー,1993
22. 三上一蔵編:SunユーザーのためのやさしいUNIXのはじめかた,オーム社,1991
23. スペンサー著/ 海江田一詩訳:WindowsNT ガイドブック, HBJ出版局,1994
〔ダンウサイジングについて〕
24. 勝本宗男:ダウンサイジングに関する本,日経コンピュータ,1993.10.18,pp.153-158 
25. 柳井朗人監修:ダウンサイジング・イノベーション,テレメディアKK,1993
26. 樋口節夫:クライアント/サーバー・コンピューティング−システム構築のチェック・ポイント,オーム社,1992
27. G.グルアルディ著オープンシテスム研究所監訳:クライアント/サーバー・ダウンサイジング,オーム社,1993
〔雑誌記事など〕
28. 石井良一: パソコン価格はまだ下がる, 日経コンピュータ, 1994.3.7,pp.56-68
29. 志度昌宏: 止まらぬ「価格破壊」, 日経コンピュータ,1994.12.12,pp.102-115
30. 桔梗原富夫:基幹システムにUNIX−脱メインフレーム環境整う,日経コンピュータ,1994.7.11,pp.58-71 
31. 村中敏彦:東京海上火災保険−基幹業務の大規模ネットをUNIXとWindows で刷新, 日経コンピュータ,1994.6.27,pp.142-151 
32. 上里譲:韓国・光州銀行−世界初・銀行勘定系でメインフレーム と決別,日経コンピュータ,1994.12.26,pp.68-76
33. 中山仁ほか:工学系学生のための情報処理集合教育環境の設計と構築,情報処理学会論文誌,Vol.35,No.11,pp.2225-2238,1994
34. 星野友彦:法政大学市ヶ谷計算せんたー−リプレース(富士通M-370 →日本アイ・ビー・エムRS/6000,PS/55), 日経コンピュータ,1994.10.31,pp.87-89
35. 星野友彦: シカゴの死角、デイトナの真実−32ビット・パソコンOSレース始まる, 日経コンピュータ,1994.9.19,pp.70-85 
36. 星野友彦: : パソコン・サーバー市場へ低価格RDBがなだれ込む,日経コンピュータ,1994.11.14,pp.69-76
37. 星野友彦: 実用期に入るWindowsNT-ユーザーはツールやノウハウ不足に苦戦, 日経コンピュータ,1994.12.26,pp.42-54
38. 小出由三:選択−青山学院大学−事務情報システム(WindowsNT), 日経コンピュータ,1994.5.2,pp.69-71
39. 木崎健太郎:WindowsNTがCADシステムを変える−UNIXを駆逐する新プラットフォーム,日経コンピュータグラフィックス,1994年1 月号,pp.54-68 
40. 荒井孝行:CAD ユーザーのためのWindowsNT 講座,日経コンピュータグラフィックス,1994年12月号,pp.136-142 
41.北郷達郎・鶴見敬之:UNIXの牙城を崩すWindowsNT,日経エレクトロニクス,1994.12.19,pp.75-98
42.福永勇二:Microsoft Developer Network Development Library,Windows Magazine, 1994,November,pp.234-237
43. ロバート・ローリストン:Windowsソフトが快適に使えるネットワーク向きOSの新バージョン- WindowsNT3.5, 日経パソコン,1994.11.7,pp.231-238 
〔自己の文献の引用〕
44. 関谷順太:「アルゴリズム」教科(C言語分) の概要と例プログラムでのデータの表示, ,職業能力開発報文誌,Voll.5,No.2,pp.43-50,1993
45. 関谷順太:一般情報処理教育について,北九州職業能力開発短期大学校紀要,第6号,pp.41-46,1994
46. 関谷順太:有限要素法ソフトANSYS の利用について, 北九州職業訓練短期大学校紀要, 第5 号,pp.43-50,1993