2001年5月1日 新規作成 関谷のトップページへ 総合制作実習2001のトップページへ   作者へのメッセージ

「コミュニケーション技術 (実用的文章の書きかた) 篠田義明著,中公新書807,1986」から

はしがき

 学生や会社員でも,自分の勉強や仕事や研究についての文章や発表がわかってもらえることが大事である。わかりやすい文を,一定のルールにしたがって,正しく、早くまとめるコツを書いた。英語における実用文の書き方を著者はミシガン大学で学んで,指導を10年した。「英文ドキュメント作成法」にたいして米国科学工業英語協会から優秀賞を貰う。実用文の書き方,まとめ方は,英語でも日本語でも共通点がいくらでも見られるものである。

1章 伝達技術の必要性

 実用文:読み手に行動を求めるのが普通である。〔自分の考えや意見あるいは経験を表す情報を, 読む対象に提供する文章〕 (1)課題→ (2)仕事( 研究)→(3)報告( または説得)→ (4)対象 → (5)行動

 欧米での作文術の指導法繝~シガン大学では
  hフレッシュマン・イングリッシュ繙繙繙繙繙繙纒カ章の論理的な書き方
  iテクニカル・プロフェショナル・コミュニケーションレポートの書き方, 発表法

 日本における作文術「話すように書け」は無謀。
   見た通りに書け」は不可能。
   国文法ができても達意の文( わかりやすい文章) は書けない。
   会話ができても文は書けない。( 発想法のトレーニングとして作文術が必要) 

2章 単語の選択

 文:1つかそれ以上の単語が集まったもの,したがって,単語に対する鋭い感覚を持つこと。
 ワンワード/ワンミーニング(one word/one meaning) 
    曖昧な名詞・動詞・形容詞や副詞に注意する。
 専門用語を使う。
 動詞・形容詞との相性を考える。
 用語をみだりに変えない。
 いきなり未知の用語を使わない。
 代示( 内容を示す代わりの具体性に富んだ語) を使う。

3 章 文に不可欠な要素

 文の長さ: 短文がモットー。( 短い文と文のあいだに息のつながっているが, 良い文章) 
 ワンセンテンス/ ワンアイデア( one sentence /one idea ) ( 一つの文が一つの概念) 
 受動態を多用しない。
 定義法    単語= 区別+ 概念
 縁語接近・長遠短接 ( 修飾語句の置き方の原則) 
 パラレリズム( 並列法) の原則 すっきりした表現に推敲する。例) 北は北海道から南は沖縄まで
 原因・結果の表し方   原因→結果  ( ・・だから・・)   結果←原因  ( ・・は・・だからだ) 
 語句の重複を避ける。 一つの文に同じ意味の語句が重複しないこと。

4 章 パラグラフのまとめ方

 (ミシガン大学科学工業英語検定試験での講評纒カ法は日本人が上だか, バラグラフの展開法とデータの取捨選択が極めて弱い。) 
   文のひとまとめ繝pラグラフといい, 段落を付ける。
 ワンパラグラフ/ ワントピック( one paragraph / one topic) 一つのパラグラフは, 一つの主題。
  一貫性と統一を保つ繙  文の配列( 文の流れ) を考える。
   データのグループ化をして、
h並列型      Aは...(要約文) a1は..(各論) a2は.. a3 は..
i直列型   A はB ( 総論)  B はC(各論)  CはD    DはE 
j分析並列型 A はB,C,D(総論) B は.. b1 b2 Cは.. c1 c2 Dは... 
k分析直列型 A はB,C,D(総論) B はa  aはb  bはc  cはd  Cはf 

 総論から各論へ  総論とは, そのパラグラフ内の主要な内容を取りまとめたもので, 頭書に置く。
 (我々の頭の中では, データ・事実〔各論〕から要約・結論〔総論〕へと展開しているが、報告する段では、逆に、総論から各論へと方向を変えなければならない。)

 総論の書き方 文とする。明確であること。
  h順番に述べるパターン(年代順,連続事項,原因・結果,結果・原因,空間上の関係)
  i関係を述べるパターン(比較,相違,定義,評価)
  j分析のパターン(列挙,例をあげる,問題・解決,要約)

 各論の展開法
 1.時間上のオーダー(出来事,手順,判断,推論,概念などが時間的順序で起こっているとき)
 2.空間上のオーダー(図面や表,位置やレイアウト,旅程の説明など)
 3.重要度の高いものから低いものへのオーダー(演繹法ともいわれる)

 問題と目的を明確に
  (目的を,第1パラグラフで明示する。(簡潔で明確に表示))
  問題点を早く,正確に知らせてやれば,読み手はそれだけ早く理解できる。(問題から、仕事)
  技術上の目的繽曹ォ手が何をしたか,何を行うべきかを書くが,読み手が容易に理解できるように
  伝達の目的繪ス故書くのか,書く理由を述べなければ,読み手はそれを推測しなければならない。

5章 パラグラフの展開法

(基本パターンから適切なものを選ぶ。)
 分析による
 事実による
 実例による
 定義による
 時間の順序による
 プロセス記述様式による

 説得の展開法
 原因・結果の展開法
 問題・解決の展開法
 比較・対照の展開法

6章 パラグラフのつなぎ方

 全体的な構成
  (序文,本文,結論)の間にも密接な結びつきがある。基本的には並列型と直列型の展開がある。
 主題を選ぶ→主要語を決めて,どう展開するかを簡単に書いてみる。(テーマの書き忘れ,オーダーが分かる。)
               ゚繙繙繙繙繙繙繙繙繙繙繙繙繙繙繙繙
 見出し記号の付け方 (右の表参照)                  艨k技術関係で多用される分類体系〕
 パラグラフの連結                   艨@       1.         
  h直前のパラグラフ中の主要語を繰り返す方法J    艨@        1.1      
  i直前のパラグラフ中の主要語句を繰り返す方法J   艨@        1.2      
  j直前のパラグラフ中の大切な内容を繰り返す方法J  艨@       2.       
  k主題中の主要語( 句) をそれぞれの最初のパラグラフで艨@        2.1      
   繰り返す方法J                  艨@        2.2      
  l接続詞を使う方法J                艨@          2.2.1    
                            艨@         2.2.2    
                             瘋繙繙繙繙繙繙繙繙繙繙繙繙繙繙繙繙

(補足)その他の文章の書き方の参考書

1)村田吉徳著,ポイントでわかるWord95ビジュアルガイド,技術評論社,1996,\1580
2)荻野綱男著,ワープロによる知的生産の方法,岩波書店,1989,¥1300
3)野口悠紀雄著,パソコン「超」仕事法,講談社,1996,¥1200
 「野口悠紀雄Online」のURLは、http://www.noguchi.co.jp/である。

以上